関節リウマチに悩まされている方は、2011年の厚生労働省への報告では日本全国に約70~80万人いるということです。関節リウマチなどの膠原病は、本来は身体を守るために働く自己免疫の反応が、身体に慢性的な炎症を引き起こして色々な症状を引き起こしてしまう病気です。初期の関節炎からはじまり、炎症が悪化していき、関節の破壊や変形をもたらしてしまいます。病院での治療目標とされているのは「可能な限り関節リウマチの活動性、炎症を抑制し、関節機能障害の出現、進行を阻止すること」であり、まだ根治治療は確立されていないのが現状です。鍼灸は関節リウマチにたいして、適応した治療(効果が期待できる治療)としてWHO(世界保健機構)に認められています。
当院の施術例
60代の女性で来院当初は肘や膝が痛みでうまく曲げられず、入浴や歩行も大変ということでした。週一の施術を行ったところ、つっぱりやむくみが減り、血液検査も炎症を示す値が0.11と基準値内になられました。
(※上記の施術例は施術記録および口コミサイト「エキテン」・「しんきゅうコンパス」への投稿を元にしております)
当院に来院された方から提供していただいた検査結果です。値に変化が出た理由をこのように考えます。西洋医学の世界では現在、リウマチの発症の原因は遺伝的な要素(内的要因)に、細菌やウィルスの要素(外的要因)が関与した結果、発症するのではないかと考えられています。米国のD・ブラウンスタイン医学博士は、著書の中で、細菌感染が関節炎に関与していると考え、関節リウマチ患者に少量の抗生物質(身体の中の細菌の発育を阻害する物質)を投与することで、症状を快方に向かわせています。鍼灸には抗生物質のような働きはありませんが、免疫能力を高めると考えられる鍼灸は細菌に対しての免疫効果も十分に期待できます。ガン細胞は1日に5000個できていると言われますが、それらは私たちの免疫細胞によって破壊されています。身体の中に入り込んだ有害な細菌も同じように免疫細胞によって排除しています。私は免疫力を高めることで、関節リウマチに関与する細菌も排除出来る可能性があるのではないかと考えています。ただ関節リウマチは自己免疫疾患と言われるように、病院では処方される薬には免疫を調整したり、抑制する薬があります。そのことをふまえると、鍼灸は正常異常の関係なしに免疫力を高めているだけなのかと考えた時に、下記のような働きもあるあるように思えます。
自己免疫疾患は本来は身体の内部を守り、維持するための免疫機能が身体に炎症を起こすようになってしまうものです。何らかの原因で正常な反応を起こせなくなってしまった身体に対して、継続的に微小な鍼によって組織損傷を起こし、生体防御の正常な反応(正常な免疫システムの活動)を引き起こす。そうすることで関節リウマチに対しても、正常な免疫反応を呼び起こすことになるのではないかと考えます。
また手足の慢性的にある痛みは、非常に大きなストレスになります。それは心身共に疲労させていきます。鍼による炎症部の鎮痛効果で心身のストレスを軽減して、交感神経の興奮を抑える。そのことで自律神経のバランスを整えることになります。それは自律神経を介して免疫能力を高めることに良い影響を与えると考えられます。
身体は複雑で繊細です。今まで何をしても症状が変化しないこともあれば、ちょっとしたキッカケで大きく変化して症状から解放されることもあります。
ぜひ、あきらめずにご相談ください。
参考文献 「関節痛・リウマチは完治する」(著)D・ブラウンスタイン」
「病気が見えるVOL.6 免疫・膠原病・感染症」